2012年7月3日火曜日 | ラベル:

『平成大修理見学会』の様子(5)




今回も5月26日,27日に行われた『平成大修理見学会』の様子について報告いたします。
今回は建物の瓦葺き屋根についてです。


屋根の上にはまずとち葺きという、太めのサワラの板(とち板)を組み並べることから行われます。
その上から土居葺きといって、杉や栗の木で作られた薄い板を丁寧に釘で打って並べます。
この屋根全てに板を並べるのですから、それだけで大変な作業です。ひたすら釘を打っていくその様子から土居葺きは別名トントン葺きとも呼ばれるそうです。
屋根の上は以前は土葺きという土を乗せた上から瓦を敷き詰める工法をされていたそうですが
その工法では建物の柱にかかる重みが大きすぎるということが今回の改修でわかったので、瓦のみを敷き詰めることで屋根を仕上げます。それを本瓦葺き工法といい、一カ所に瓦が三枚重なるように敷き並べることで、雨漏りなどを防ぎます。


以前の瓦は200年前に香川の丸亀で焼かれたものであることが、瓦に付けられている刻印を調べることで判明しました。3種類あり、それぞれ三木屋、九鬼屋、白木屋という3つの瓦屋が協同して宝福寺に納めたものであることが分かりました。
これだけの瓦を遠い四国からどのように運んできたのかを考えると、想像が膨らみます。
瓦はすべて新しいステンレスの釘を使って留めていきます。以前までの鉄の釘では、熱で膨張して瓦を割ってしまうことがあるからです。
以前の瓦はすべて一度状態をチェックして、使えるものも一枚一枚瓦のたわみを測定し、新しく重なり合う瓦はできるだけその曲がり具合が近しいものを使うようにします。およそ3分の1くらいは以前までの瓦を再利用するそうです。


大工さんには他にも屋根の頭頂部には青海波組棟(せいかいはくみむね)という美しい装飾がされていたことなど、屋根のことや瓦について詳しく説明していただきました。


--光森雅明 / 岡山県立大学大学院 デザイン学研究科1年